◆第三話 彼のやり方(大まかに書いただけなのでまだ書き終わってませーぬ)


まもりたいものってなにかな



へいわにきまってんだろ



へいわってなに?だれもしなないせかい?きぎょうもなにもないせかい?



そんなのおまえ……



ありーながなくなればへいわになるのかな



アリーナはべつにだれもしなないだろ



ありーなにでてるひとたちはふだんころしあいをしてるっておとうさんいってたよ




そんなのうそだよ




ほんとだよ




うそだ!




えーしーにのってるひとにいいひとなんていないんだよ




うそだ……うそつくな!




















おれはあまりにもしらなすぎた

















 【side ジャンク】



 『く、み…右に旋回するにはこうして、……だ、だめだ!後ろに回られた!』

 敵ACを動かしているパイロットから悲痛な独り言が聞こえる。
それを気にもせずにジャンクは空中から敵の死角となる真後ろへと着地し、ライフルをそのまま後方に射撃した。

 『おわっ!?』

 敵ACも旋回しようとするが、既にジャンクは敵ACの目の前まで接近している。
ブーストを利用して空中からの袈裟掛けに振るわれたブレードは、丁度旋回しおえた敵ACの肩から脇腹にかけて切り裂いた。

 『ちっ……ちくしょう……』

 敵ACはスパーク音と共に強制的に戦闘モードから通常モードへと切り替わり、機能を停止させる。
アリーナは歓声に沸きあがり、勝者を称えた。







────────────────────







 「……これで大体5000キャピタル。初勝利記念にコーテックスから貰ったミサイルを売却すればもう少し稼げるか……。」

 勝者はジャンクのアーティフィシャル。ジャンクはコーテックスにレイヴンとして登録した後、アリーナに出場していた。
アリーナはランクがA~Eまであり、Aは3人、Bは7人……と言った風に、更に区分けされて大勢のレイヴンが登録されている。
そのうち、新人レイヴンのジャンクは現在最下位のE-10から3人打ち破り、E-7まで順位をあげた。
ここの代は、A-Bの上級レイヴンたちからすると「じゃれ合い」とも皮肉されるほど低レベルな戦いで、観客も少ない。
だが、このジャンクの戦いを見ていた数少ない観客たちは思わず息を呑んでしまった。
このレベルではあり得ないほどの卓越した操縦技術。素人目から見てもそれはわかった。
 
 ジャンクのデビュー戦となる試合では、相手レイヴンはブーストの使用すらままならない素人だったが、ジャンクはブーストを駆使して空中からライフルを連射して浴びせた。
相手はジャンクを視界に納めることもできずに、最後はブレードで切り裂かれて成す術もなく倒れたのである。アーティフィシャルは敵ACのライフル一発も掠らずに勝ってしまった。
その試合以降、2試合目、3試合目と回を増すごとに客層とジャンクの注目度は比例して増えていき、現在アリーナの頂点にいるランカー以来の天才と謳われている。

 ジャンクの目的はアリーナでの地位を確立させることではない。
アリーナで名を売り、各企業に注目される。勝利金として入る報酬で少しでもアーティフィシャルを強化する。ジャンクの目論見はこの2点に尽きる。
なので、こうも観客に騒がれると逆にやりづらくてしょうがなかった。

 「(確かに人気は注目度にも繋がるだろうが……まぁ、注目されないことには依頼も来ない。まずはそこから始めなくては。)」

 注目は観客や他のレイヴンだけではなく、当然依頼の斡旋元である企業にも影響する。
アリーナ専門として活躍する予定のレイヴンはともかく、ジャンクはミッションを遂行していく傭兵としてレイヴンに就いたので、とにかく何かしらの依頼を受けなければ、進むに進めなかった。

 最も、ジャンクの活躍はレイヴン試験で無傷の合格と言うだけで相当企業にも行き渡っているのだが、それは本人も知らないことである。



 「……ん?」

 部屋に戻ったジャンクは、新着メールに気づき、いの一番に端末のメール欄を起動させた。
先日、ジャンクの担当補佐となったレイン・マイヤーズからのメールだった。

 ▼グローバルコーテックスより緊急の依頼

 「……コーテックスだと?」

 依頼が受けれれば何処でもいいと思っていたジャンクだったが、まさかいきなり自社からの依頼が来るとは思わなかった。
内容は、テロリストの排除。またかとジャンクは思う。
自分がレイヴンになるときの試験もテロリストの排除だった。コーテックスは一体どれだけテロリストに狙われているんだと思うが、逆に言うと今のところ企業同士の争いは表立ってはいない、ということだろう。
アリーナの会場を襲撃し、開催を休止させる。それがテロリストの目当て。
16時よりアリーナ会場にて待機し、そこから襲撃するテロリスト達を援軍が止まるまで撃破する、報酬は敵襲撃部隊の撃破数に応じての歩合制、それが大体の流れ。
そんな正確すぎる情報、一体何処で手に入れたものなのか。コーテックス事態もやはり何処か怪しげなものを匂わせている会社である。

 「……まぁ、依頼がコーテックスなら寧ろ好都合か。」

 レインを通して依頼をしてきた、と言うことは自分に対してのみ送られた依頼ということ。
つまりはこの依頼を受けさせようと策略した人物がレインの上にはいるはずなのだ。

 ジャンクのレイヴンとしての、最初の依頼は決まった。
レインのメールに一言、了承する、と返信をするとジャンクはリングメニューから依頼にアクセスし、正式にアリーナ防衛のミッションを受諾したのだった。






 
 ─────────────







 グローバルコーテックスアリーナの柱影。
指示された場所で、ジャンクは待機していた。

 「(現在一五三○……。)」

 予定より若干早いが、あくまでも予定は予定。ジャンクは既に1時間近くアリーナにて待機していた。
テロリストの行動がメール通りの時間に行ってくるとは限らない。勿論、16時よりアリーナに待機と指令したコーテックス側にも責任が乗ってくる話だが、それでも万全を期して挑む為、早い時間帯から待機をする。
柱の影に隠れているのは、中心部にいた際に自分の姿を見られてテロリストが襲撃を頓挫させるのを避けさせる為である。
依頼を成功させないことには、報酬は貰えない。しかも今回は撃破数に応じての歩合制である。
 ならば、襲撃がなかった、では報酬は一切入らない。テロリストに襲撃してもらい、更に油断させてからの奇襲。そこの辺りを意図した布陣である。
通信回線はオープンチャンネルにしていたが、こちらは一切喋っていない為、敵からの回線を傍受する為だけに開いている。
最も、オペレーターがその辺りはやってくれそうだが、オペレーターはアリーナ到着から一切喋ってもいない上に、ジャンク自身単独任務が多かったので、これは癖のようなものでもあった。

 「(担当補佐なら当然オペレーターも請け負うはず……。しかし、メール以外での接触は一切図ろうとしない。……正確すぎる依頼の情報。まさか……。)」



 『……聞こえますか?レイヴン。応答を。』
 「!ちょっと待て………。こちらアーティフィシャル、ジャンク。」

 突然聞こえてきた声に急いでオープンチャンネルを切断し、通信をオペレーターとの専用回線に絞る。
コーテックスに図られた、とも考えかけたが、今頃になっての接触は少々想定外だった。罠ではなかった、と言う結果に内心安堵する。
そして、改めて通信先の女性を確認する。この女が、レイン・マイヤーズ。

 「お前がレイン・マイヤーズか。」
 『はい。音声でのやり取りはこれが初めてとなりますね。改めてよろしくお願いします。』
 「あぁ。」

 淡々と喋るレイン・マイヤーズ。そこには緊張も高揚もない。オペレーター経験者かもしれない、とジャンクは決め込んだ。
アリーナを見渡すが、テロリストはまだ到着していない。ついでに言うなら、作戦時間も経過していない。
ジャンクは今までメールだけのやり取りで把握しきれなかった彼女の像に探りを入れみることにした。

 「わざわざレイヴン登録の際は詳細のメールを送ってもらって手間をかけたな。」
 『いえ、それが担当補佐官の務めですので。』
 「その担当補佐官、だ。今まで新人レイヴンにそんなものつかなかった、と聞いているが?」
 『……。』

 少しの静寂。言葉を選んでいるのか、予想外の質問をされたのか。
相手からの返答を待ってみようとも思ったが、レインは少し溜めた後すぐに返答をしてきた。

 『貴方のAC乗りとしての経歴、存じないものはコーテックスにはいないと思われます。元フリーランスのハスラー。』
 「……。」

 ジャンクがようやく引き出せた情報。【自分が既にコーテックスには調べ上げられている】と言うこと。
あの頃の自分を知った上で連中はスカウトをしたのだ、と確信を持った。
この情報は、こちらからの情報を引き出すための釣り餌か、果てまた信用させる為の飼い餌か。
そんなやり取りを経て、彼女も結局は警戒対象のまま、と言うことに内心頭が痛くなる。勿論最初から大体こうなるであろうとは思っていたが。

 「(やはり彼女も何かしら俺の情報を持っているようだ。……引き出せる範囲内で引き出してみるか。)」
 『勿論、我がグローバルコーテックスはレイヴン個人の過去を引き合いには出しません。我々は貴方の実力を買ったのですから。』
 「(……半分は本当だろう。)」

 レインの言葉には、少なくとも態度の変化は見られなかった。依然として淡々と会話を続けている。
腹の探り合い。そうとも思える。ミッション前に自分のオペレーターと何をやっているのだろうか、とジャンクは少しため息をつきたくなった。
前は敵、後ろはグレー。結局、預けれる背中なんて壁くらいしかないのだ。

 『……質問は以上ですか?』
 「もう一つ。今回の依頼についてだが────」

 言いかけたところで、入り口付近から聞こえてきた爆音に思わず操縦桿を握る。
時刻確認、一六○○。ジャストタイム。

 「(……やはり、あまりにも正確すぎる。)」

 秒単位も間違わずにテロリストはアリーナを襲撃した。……あり得るのだろうか、こんなことが?ジャンクはいよいよコーテックスに対する疑念が膨らんできたが、今はとりあえず目の前のことから片付けていくことにした。

 「レイン・マイヤーズ、敵部隊の襲撃を確認した。質問は中断する。これより作戦開始、戦闘モードを起動する。」
 『……!まさか、本当にこんな指定時刻に……?っ了解。援軍の情報は随時こちらからも連絡を入れます。』

 最後に気になることを言ったが、今はとにかく作戦を開始した以上、やることは定まっている。
まずはテロリストを排除しなければ。

 『敵機、確認しました。逆関節型MTエピオルニス、自走兵器ウィーザル。エピオルニスはガトリングとミサイル、ウィーザルはロケットを主装備とした兵器です。』
 「エピオルニスにウィーザル……いずれも安価な兵器だな。数は?」

 エピオルニスは先日、レイヴン試験の際に出てきたモアと同様の逆関節型MTだが、多少耐久度の向上が見られる。
パイロットが乗っている分、人間的な動きもし、つけいる隙はいくらでもあるだろう。問題はウィーザルのほうだ。
自走砲台ウィーザル。無人兵器で、設定されたターゲットと味方マーカー以外を認定して攻撃活動を行う兵器である。
変装的な動きをし、それでいて少しすばしっこいので数で攻められると避けきれなくなる恐れもある。

 『わかりませんが、アリーナ外にも多数の反応があります。続々と援軍が現れるかもしれません。』
 「ちっ……初ミッションでいきなりの団体戦か……。了解した。敵に変わったことがあったら連絡をいれてくれ。」
 『了解です。』

 オペレーターに関してはかなり優秀だった。確かにこちらからのレーダーでも反応が見られるのは2体のみだが、それだけでテロ行為が成功するとは思えない。増援が大勢いることはなんとなく想像がつく。
それに、今考えればコーテックスが情報を入手できたのもこの大多数のテロリストのせいではないだろうか。これだけ数がいれば、余程統一されていない組織でなければ情報が漏れるのも案外容易い。

 「(しかし、こちらの機体は初期型の試験AC……。ライフルの火力も先日の試験で運用されていたモアならともかく、エピオルニスには有効打とも言えないか。ウィーザルならばライフルでも有効だろう。さて、何処までやれるか。)」

 こちらが待機している柱に近づいてきたエピオルニスを、柱影から機体を動かしたと同時に切り裂く。
咄嗟のことで対応できなかったエピオルニスからは息を呑むような通信が洩れた後、真っ二つに切り裂かれて爆発した。
アリーナを改めて確認すると、アリーナへの入り口は四方存在する。その四方からどうやら侵入してくるつもりのようだ。

 「(物量作戦……誰かが雇われることはわかっていた?いや、それ以前に、緊急事態なのに何故その四方何処もガードがついていない?)」

 ジャンクの悪癖でもある、考え事をしそうになるが、視界に映ったウィーザルに向けてとっさにライフルを撃つと機体を切り返してアリーナの真ん中に陣取る。
ここが最も、レーダーの範囲が四方に効いて敵に対応しやすい場所だからである。
四方の入り口のうち二つからそれぞれ、エピオルニスとウィーザルの増援を確認する。

 「……どうやらエピオルニスとウィーザル、それぞれ1体ずつこちらに向かってくるようだ。」
 『そのようです、確かにアリーナへの入り口は狭いですが、何故2体ずつ……?』
 「わからん、寧ろ俺の疑問はこうまで簡単にアリーナに侵入を許してるコーテックスへと向けられている、と言っておくぞ。」
 『…………それに関しては、その……。』
 「まぁいい、増援はまだいるんだろう?とりあえず作戦のほうを再開する。」






 
 ─────────────────







 ジャンクは、コーテックスがあまりにも自分に頼りきりな姿勢に大きく疑問をもった。娯楽施設、また収入施設として大事な役割を果たしているアリーナ。
それを、期待の新人とはいえ、新人レイヴン1人に任せきる。投げやりなのか、別の思惑があるのか。

 「(ちっ、オペレーターも口を噤むほど今回は黒い依頼って言うのはわかった。彼女が恐れているのは、俺へ情報が洩れることか、上へとこの会話が伝わることか……。)」
 
 入り口から登場するエピオルニスをミサイルのけん制後にライフルで攻撃し、ウィーザルをライフルだけで撃ちぬく。
その度に次々と補充されていき、まるでこの光景はもぐら叩きのようにも見えた。

 「キリがない……!」
 『待ってください、レイヴン!これは……内部からの熱源反応?』
 「何!?」

 ここにきて内部からの敵増援。ここは完全に予想外だった。
この増援が何かでコーテックスの真意が決まる。こんな早々に。

 「敵は?」
 『……!ランカーAC、ゲルニカを確認しました!』
 「ランカーACだと!」

 


 『手こずっているようだな……手を貸そう。』

 アリーナの別入り口……あそこの道はガレージへと続く外部からは完全に遮断されているルート。
そこから現れたのは赤い色を貴重とした逆関節に武器腕を装備したACだった。

 「確かEランクの……ゲド。」
 『そういう貴様は噂の新人レイヴンか。こちらは西を担当しよう。東は全て任せるぞ。』
 「……元々1人で対処する予定だった。西から垂れ流してもこちらで対処してやる。」
 『ほう……?その自身と実力の裏づけ、見せてもらうぞ。』

 ジャンクに背を向け、ゲルニカは西側の敵を攻撃し始める。
本当に信用できるのか、と言う思いもあったが、現状味方としての行動を行っている以上、必要以上に警戒するのもこちらの行動に差し支えると思い、西側は完全に任せることにした。

 『ゲルニカを味方マーキングに設定します……その、レイヴン。』
 「いい。御託はあとで聞く。今回の報酬は歩合制だからな……少しでも多く片付ける為に今はお前のオペレートが必要だ。」
 『……了解、引き続きレーダーに集中します。』

 突然現れたAC、自分にやられる為に来ているとしか思えないテロリスト達。何か言いたげにしている担当補佐官。
頭の痛くなるようなことばかりだった。初ミッションで既にコーテックスに振り回されているような気がしないでもないが、あのゲルニカのこともレインのこともとにかく後回しにしよう、と一旦ジャンクは思考をカットした。
 先ほどはああは言ったが、西側から敵機が来る様子は一切ない。完全にゲルニカ1体を突破できずにいるようだ。
こちらもゲルニカ自体を警戒しつつも、先ほどより弾数を気にせずにライフルを使うことにした。
入り口が開く度にライフルかミサイルで攻撃し、エピオルニスにはブレードで対応する。
西側の入り口が開く音がゲルニカの通信から聞こえてくるが、全て腕の拡散レーザーで対応されていた。

 オペレーターはレーダーに集中すると言った以降、結局一言も喋らずにテロリストは撃退されてしまった。

 




 ────────────







 【side ゲド】

 腕のレーザー兵器を至近距離から撃ち、一撃で敵MTを撃破していく。
最早作業に近い。自走砲台に関しても、距離を空けられたあとにミサイルを放てばなんの問題もなく対処できる。
気になる新人レイヴンのほうも、何の危うげもなく確実性のある動きで敵機を撃破していった。

 「(自走砲台にはライフル、MTには近距離ではブレード、中距離ではミサイルを絡め、空中からの射撃……。なるほど、噂通りの腕前か。)」

 側面にいたウィーザルから放たれたロケットをジャンプでかわす。そのまま空中へと機体を持ち上げ、着地と同時にウィーザルを武器腕で掴み、零距離からレーザーを放ち破壊した。
グシャグシャになったウィーザルを後退と共に踏み潰し、一旦新人レイヴンのほうを見る。

 「(ハスラー。成る程、あの機体であの動きが出来るのならばそう認識されるのも間違ってはいまい。)」

 内装をどれだけいじってるかは知らないが、初期フレームと初期武装でエピオルニスとウィーザルを何の苦もなく破壊していく新人レイヴン。
もう1人の新人レイヴンは新人らしい動きをするレイヴンと聞いているが、こちらの新人は新人らしくない動きをするレイヴンと有名になっている。
既にその実力はアリーナで十二分に発揮されているし、今この目で直に確認できただけでもここに出向いた価値はあった。

 そうこうしている内に、援軍も途切れたようでこちらのレーダーには敵が反応しなくなっていた。

 「レイヴン、こちらのレーダーに機影は映っていない。そちらはどうだ?」
 『こちらもだ。レイン・マイヤーズ、外部の敵は?』
 『撤退を開始した模様です。作戦完了と見なしても構わないでしょう。』
 『アバウトだな……まぁ、コーテックスがそう言うのならば後は勝手にすれば良い。』

 向こうのオペレーターとのやり取りが回線を通して聞こえてくる。
オペレーターをフルネームで呼んでいる以上、パートナーと言える関係上ではないだろう。組んで初日か、或いは出会って初日か。

 「良い腕だ、気に入った。近いうちにまた会うこともあるかもしれん。」
 『それは戦場で、と言う意味でか?』
 
 明らかに警戒を解いていない、尖った返答にどう返そうか悩んでいると。

 『戦場で会う前にアリーナで会うだろう。……返礼はその時に。』

 中々自分好みの返答に笑いを隠しきれなかった。

 「クっクっクっ、おもしろいやつだな。……いいだろう、その時までにそのACを整えておくことだ。ではな!」

 先ほど自分がアリーナに入ってきた入り口とは違う、テロリスト達が出入りしていた入り口から出る。
道中でテロリスト達に会うことはなかった。完全に離脱したようだ。周囲を索敵した後、ゲドは先ほど新人レイヴンとの回線に使っていたチャンネルを切断した。







 「こちらゲルニカ。目標は無事だ。まぁ、こちらが援護に入らなくても何ら問題はなかっただろうがな。」
 『そうか、ご苦労だったな。』











*こっから下は3話の話ではないので6話くらい以降に挿入するのを忘れないこと 




 【side ジャンク】

 「終わり、か。俺たちも戻ろう。戦闘モード解除。」
 
 先ほどからどうもレインの態度がおかしくなったことに少しに疑問を持つが、とりあえずはミッションが終わったので帰還しようとする。

 『……少し個人的な頼みがあります。』

 そんな中で、そんなことを言われるのは少し意外だった。

 「……なんだ?」
 『明日の夜、トレネシティのカクタスと言うバーに来てほしいのです。少し今後の身の振る舞い方について相談を。』
 「おい、そんな話こんな通信で。」
 『……特殊回線を利用しています。コーテックス側には洩れていません。19時くらいにお願いします。場所は申し訳ありませんが調べてください、では。』
 「おい────────」

 一方的に回線は切断されてしまった。
ポツン、とアリーナに立ち尽くしてしまうが、ジャンクは同時に浮かび上がったいくつもの疑問に再び頭を痛めるのだった。

 







 Next stage